北斎展
来館日時:10/30
場所:東京国立博物館

朝早く行ったのに込みすぎです。日本人が北斎大好きなのは知っていましたが、朝っぱらからこんなに大挙してやってくるとは…ナショナリストの陰謀かなんかなんじゃないですか。しかも展示品300展とかなり大がかりで、止まって見ることなんかほとんどできません。やっぱナショナリストの陰謀に違いない!
…で、初期から後期まで6つに分けて展示してあるのですが、初期はどうってことない引き目鉤鼻風だった美人画がだんだん生々しい感じになっていったり、いろいろ勉強になります。とはいえ浮世絵の最大の敵はやっぱり褪色ですねー。色刷りでも古いもんだからほとんどモノクロにしか見えないようなやつとか、中には絵柄の判別もほとんどできないようなやつもありました。そしてやっぱりこんなに混雑していて褪色までしていると見る気を失うわけでして、なかなかつらい。
北斎といえば富嶽三十六景ということで、今回も全品ではありませんが二十数点が展示されています。この間全部太田美術館で見たもーんと思って見ていたのですが、『凱風快晴』だけ初刷りと後刷りの二枚が用意されていて、刷りが違うとこんなに印象が違うもんかなーと驚きました。私たちのイメージにある鮮やかな富士はどうも後刷りのほうらしい。
それから全般的におもしろいなと思ったのは、展示品の多くがアメリカやヨーロッパにあるものだということ。占領時代に日本の優品をバンバン買いたたいて持って行ってしまったアメリカからはメトやボストン、浮世絵大好きフランスからはギメ美術館がいろいろ絵を出してくれています。大量に出回っていた印刷物なのに国内に残ってないっていうのは不思議なことですが、やっぱり浮世絵っていうのは江戸期の日本では今で言うマンガ雑誌みたいな扱いだったから、よい状態で残っているものは少ないんですねぇ。今のマンガ雑誌やアニメもちゃんと保存しとかないと後で困ることになるかもしれません。とくにコミック雑誌なんてあんなペラペラな紙に印刷してあるんだから保存の悪さはきっと浮世絵以上…高岡市立図書館ドラえもん文庫が収集に苦労しているのも理解できますね。
あと、太田美術館の富嶽三十六景展でもそうだったんですが、外国人のお客さんが大変多いです。やっぱジャパニーズ浮世絵は世界的に人気が高いんですねぇ…今の日本の絵画はあんまりパッとしなくて、日本美術で世界に通用しそうなのは浮世絵と陶磁器と琳派と桃山の工芸品くらいなもんです。まあ世界的に伝統絵画っていうのは衰退傾向にあって、アートというとパフォーマンスやビデオアート、ランドアートみたいなものになってますからしょうがないのかもしれませんが、日本画や浮世絵の技術をもうちょっと理解して応用するって言うのも美術の活性化には必要なんじゃないですかねぇ。世界中のアートがアメリカ風になっちゃったらやっぱりつまらないですよ。何でもサブカルチャーの世界でもすでにグローバリゼーションが始まっていて、昔は各地で目撃される宇宙人って言うのは宝の船みたいなのに乗ってたり妖精の格好だったり地元の文化に密着した(?)宇宙人だったのに、今ではアメリカ映画の影響でどいつもこいつもUFOに乗ったグレイになってしまったのだそうです。アートもそうなるとやっぱりやだから…
とはいえ保存状態が良いものはさすがに面白く、奇抜さで売った北斎の技術を十分に楽しめます。版画だけじゃなく肉筆画なんかもあって展示内容は非常に充実。混雑さえしてなければとてもいい展覧会なんですけどねぇ…
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