William Shakespeare, Titus Andronicus



テキスト…いっぱい出てます。


〜ストーリー〜

 ローマの将軍タイタス・アンドロニカスがゴートとの戦いに勝利し、ゴートの女王タモーラとその王子たちを連れて凱旋する。タイタスはタモーラの長男を戦死した自分の息子たちに捧げる生け贄として殺し、新皇帝サターナイナスに娘ラヴィニアを嫁がせようとするが、ラヴィニアは既にサターナイナスの弟バシエーナスと婚約していた。タイタスの息子たちはラヴィニアを無理矢理サターナイナスと結婚させることに反対し、逆上したタイタスは息子の一人を殺してしまう。それを見たサターナイナスは嫌気がさし、美しいタモーラに気を移して彼女を皇后として迎えることにする。息子を殺されたタモーラはタイタスに対する復讐を誓い、ムーア人の愛人アーロンとはかってタイタス一族を滅ぼそうとする。まずはバシエーナスを殺害し、タモーラの息子ディミートリアスとカイロンにラヴィニアを強姦させた上手足と舌を切って犯人をあかせないようにし、タイタスの息子のうち二人をバシエーナス殺害の容疑で死刑に処す。さらにタイタスを騙して一族の者の手を切って差し出せば息子たちの命を助けると言い、タイタスに手を切り取らせ、またタイタスの別の息子リューシアスも追放してしまう。ラヴィニアは杖をかかえてディミートリアスとカイロンの名を書くことでなんとか強姦犯の名をあかし、タイタスとその弟のマーカス、孫の小リューシアスに知らせる。タモーラはアーロンとの間に不義の子をなしてしまい、アーロンがその後始末に追われる一方、リューシアスはゴート人と結んでサターナイナスに対して兵を挙げる。リューシアスは子供を隠そうとするアーロンを逮捕し、一方タイタスはラヴィニアとともにディミートリアスとカイロンを策略にかけて殺害し、人肉パイにしてしまう。タイタスの屋敷でリューシアスとサターナイナスの会談が開かれることになるが、タイタスはその席で人肉パイをサターナイナスとタモーラにこっそり食べさせる。タイタスはラヴィニアを殺し、人肉パイの件を明らかにしてタモーラを殺害する。逆上したサターナイナスがタイタスを殺し、最後にリューシアスがサターナイナスを殺してローマの新皇帝となる。リューシアスはアーロンを死刑に処し、タモーラの埋葬を禁止すると宣言して芝居は終わる。



〜分析〜

 全くストーリーだけだとおそろしくグロいのですが、うまく舞台に上げるとまあグロいことはグロいもののかなり力強いものになるので、筋をきいて感じるほどどうしようもない話ではありません。

 このお話でポイントとなるのは、まずタモーラとアーロンの人種問題でしょう。アーロンは黒いムーア人ですが、タモーラはF・ロイスターによると'ultrawhite'であって、ローマ人よりも白い、とことん真っ白な女なんですね(詳しくはロイスターの'White-Limed Walls: Whiteness and Gothic Extremism in Shakespeare's Titus Andronicus', Shakespeare Quarterly, 51. 4(Winter, 2000), pp. 432-55を参照)。ローマの女よりももっと白く、もっと透き通るように美しい女の遺伝子を取り入れようとするローマの男たち…なんかナチスのレーベンスボルン計画のようで不気味です。その反面、タモーラはちょっと白いローマの男たちよりも真っ黒な肌のアーロンを愛しているんですね。白人男と結婚しつつ黒人の愛人の子を産むタモーラの多産な欲望はローマへの脅威なのです。




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