鑑賞日時:10/?
場所:俳優座劇場
ほとんど何もない舞台で、最小限の小道具を使って演じる『十二夜』です。シェイクスピア時代の舞台を意識しているのでしょう、作り自体はとても簡素です。
マルヴォーリオが良かったですねぇ…すごく大袈裟なんですけど、やっぱりコメディっていうのはちょっと大袈裟なくらいがいいんですよ。黄色い靴下止めをして出てくるところもまるでバカみたいな感じで笑えます。あとオリヴィアがマルヴォーリオが病気になったと思って「ベッドに連れて行ってあげて」というところでものすごく過剰な反応をするところも非常におかしくて…マルヴォーリオは謹直なピューリタンという設定なんですが、実は妄想ムラムラということがバレてしまっておかしいです。
マルヴォーリオ以外の脇筋のお笑い連中も大健闘で、サー・トービー、サー・アンドルー、フェステが大いに笑わせてくれます。サー・トービーは本当はもっと太って年を取った役者さんのほうがいいと思うのですが、まあたまには普通の体型のサー・トービーでもいいでしょう。フェステは悪くはないですが、歌がちょっとダメですねぇ…全体的に音楽の使い方は下手でした。最初の有名な台詞'If music be the food of love, play on.'のところで音楽がかかるんですが、その曲があまりにも暗くてパッとしないんです。ラブコメディなんだからもうちょっと明るく始めないと…と思いました。
あと発見したんですが、オリヴィアっていわゆる一つのツンデレだったんですね!というか今回のオリヴィアは明らかにツンデレでした。公爵にはすごく高飛車なくせに、シザーリオには一発でなびいちゃうんですよ。それでも他の人の前ではやっぱりご主人様風で。もうちょっとシザーリオの前でも威厳あるように作ったほうがいいんじゃないかと思いましたけど…映画版『十二夜』のオリヴィアも、ツンデレと言えばツンデレかもしれませんけど、そうは言ってももうちょっと威厳がありましたよ。
公爵はこのお芝居ではあんまり台詞は多くないんですけど、なんだか男色っぽいとこがありますよね、この公爵は?出仕したばかりのシザーリオをあんなに可愛がるのは稚児みたいだし、女とわかるとすぐ妻にしちゃうあたりも面白いです。最初はあまりよく知らない女に抽象的な愛を注いでいたのが、もうちょっと現実的なレベルで愛していたヴァイオラ=シザーリオを生涯の伴侶に選ぶことでハッピーエンドになるっていうのがこのお話のポイントです。実は『ロミオとジュリエット』もそういう話なんですよね…抽象レベルで恋していたロザラインからもうちょっと現実的に愛し合えるジュリエットへという恋の発展があるわけです。
この劇の主役はヴァイオラなんですが、女優さんはまあ悪くはなかったですがもうちょっとボーイッシュな人のほうがいいかも…とは思いました。ただこれは脇役のみんなが芸達者だったためあまり引き立たなかったというところがあると思うので、基本的にはよかったと思います。サー・アンドルーとのお間抜けな剣戟は大変受けました。
やっぱりシェイクスピアのコメディはいいですね。小田島訳のポンポン飛び交う台詞で、日本人でもシェイクスピアを楽しむことができます。
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