(そうそう当たるものではない!!)





1隻の艦が大海原を高速で引き裂きながら突き進む。



その艦を狙って放たれた数多の砲弾は、自由奔放な軌道を描く艦を捕らえきれず、全てが見当はずれな方向へと流れ
ていく。





(出てくるとやられるだけだって、どうしてわからないんだ!!)





反対にその艦から放たれる砲弾は、見えない手に導かれるかのように、次々と己に仇なす敵へと吸い込まれていっ
た。



「て、敵の新型は化け物か!?」


次々と炎に包まれていく味方をみながら、敵艦隊の司令官が吐き捨てる。



「とにかく何としてでも、奴を止めるんだ!!」


しかしそんな司令官の叫びも虚しく、被害ばかりが増えていくのみであった。










(・・・戦いの後はいつも虚しい)





己の周りに浮かぶ鉄屑、少し前までは戦闘艦であったもの、を見回しながら男は呟いた。





(仕方ありませんよ。これは「戦争」なんですから)





浮かない表情を浮かべる男に、1人の女性が寄り添ってきた。





(行きましょう○○さん。私達は戦争を早く終らせるためにも戦い続けなければならないんです)


(・・・そうですね。それが日本国民を、そしてひいては敵国の人を守る最善の手段ですから)





そう言って動き始めた男の後ろで、女性が





(私も・・・貴方の守る人の中に入っているのでしょうか?)





淋しそうにそう呟いたことに、男は気付くことはなかった。





・・・・・





・・・・・





・・・・・





(ってな感じの展開になるはずだったのに〜〜〜!!)





そんな大和の絶叫は、絶え間なく轟く砲声と周囲に乱立する水柱にかき消されるのであった。










「愉快な大和君、戦場を逝く」


「第23話 饗宴・幕開け」





大和がどんな展開を希望していたのかはさておき、史上最大級の艦隊決戦は既にその幕を開けていた。


幕を開けたのは、米残存艦隊に向けて最大射程距離で放たれた「大和」の砲弾。


その時まで大和は





(新型戦艦3隻とはいえ、傷付いてるし、何より「大和」は世界最強の戦艦だからね〜)





戦いをどこか楽観視していた。


そして、今現在。





(おかしい!おかしい!どう考えても今の展開はおかしい!!)





大和は物凄く焦っているのであった。



とはいえ、これは大和の予想が理想に過ぎただけであり、戦況はそれほど悪いものではない。


むしろここまで挙げた戦果を常識的に判断するのであれば、「大和」「武蔵」は米艦隊から「化け物」と呼ばれるに充分
なものであった。



米残存艦隊との間に戦端が開かれてから僅か10分。


米海軍の最新鋭戦艦であった「サウスダコタ」は計8発の18インチ砲弾をその身に受け、這うようにハワイへの離脱を
余儀なくされていた。


適正砲戦距離である2〜3万メートルを超える3万5千メートルの距離のこの命中率は正しく「化け物」であった。



元々、戦艦の主砲の命中率は極めて低い。


世界最高度の錬度を誇る連合艦隊を持ってしても、距離2万〜3万において3〜5%程度とされている。


これは戦艦の砲撃システムを考えれば仕方の無いことなのである。



戦艦の砲撃は既述の如く2〜3万の距離をおいて行なわれる。


そのため発射から着弾までの数十秒、下手すれば1分を超えるだけの時間が掛かる。


この間に敵艦は500メートル以上進むのだ。


つまり戦艦限らず、砲戦というものは敵の未来位置を予測して撃つ必要がある。



大変なのはそれだけではない。


長い距離を飛ぶ間に、砲弾は風や空気、さらには発射時に相互の影響を受けて着弾点がばらけてしまうのだ。


こればかりは完全に防ぐ方法はなく、訓練と砲塔の工夫によってばらけ方、いわゆる散布界を狭めるしかない。



そんなわけで難しい(?)話はさておき、「大和」「武蔵」の叩き出した命中率は素晴らしいものであったのだ。



「大和」と「武蔵」の挙げた戦果はそれだけに止まらない。


突撃して来た巡洋艦や駆逐艦に対して、副砲や高角砲を使っての反撃も極めて高いレベルで行なわれた。



この時点で「大和」に残されていた高角砲は13基26門、「武蔵」が11基22門。


発射速度はそれぞれ19発、14発/分。


つまり「大和」からは毎分494発、「武蔵」からは毎分308発の砲弾が放つことが出来るのだ。


そして、距離が近いこともあり命中率も主砲より高く10%前後を記録した。


両艦合わせて80発/分の命中弾は、装甲の薄い軽艦艇からしてみれば、暴風にも等しい。



そして、両艦ともこの強力な戦力の使い方を間違える事はなかった。


高角砲であるがゆえに、対艦用の徹甲弾こそ使えないものの、装甲の薄い駆逐艦ならそれで充分である。


また、巡洋艦に対しても甲板上の装備を叩くだけの威力は充分にある。



断続的に叩きつけられる高角砲のジャブで足を止められた米艦は、副砲や主砲によるストレートでその姿を次々と波
間に没していった。



そして駆逐艦、巡洋艦が「大和」「武蔵」と戦っている間も、残る2隻の戦艦「ノースカロライナ」と「ワシントン」が無傷で
いられたわけではなかった。


先頭を行っていた「ノースカロライナ」が数発の18インチ砲を受けた後、「大和」「武蔵」の同時砲撃による4発の命中弾
と1発の水中弾の破壊力によって、その身を真っ二つに裂かれて轟沈したのである。



つまり、この時点までは大和の予想と大差無い展開となっていたのだ。


撃沈だけでも戦艦1隻、軽巡2隻、駆逐艦9隻。


大破させたものは戦艦1隻、軽巡3隻、駆逐艦2隻。


この段階で、米艦隊で戦闘力を維持していのは僅かに戦艦1、重巡1、駆逐艦3。


翻って「大和」「武蔵」が受けた被害は、2艦合わせても16インチ砲弾のマグレ当たりが1発、さすがに至近距離から放
たれる小口径砲からは逃れ難く高角砲や機銃が幾つか破壊されているのみである。



大和達の戦いがいかに「化け物」じみたものであったかわかるだろう。




しかし、ここから大和の筋書きが狂いだす。


原因は何だったのだろうか?


後々、修理して復活されないように大破した艦も全部沈めようと気を取られたせいか。


はたまた想像以上に米艦隊が勇猛果敢だったせいか。


それとも・・・





(って、どう考えても高柳艦長の命令のせいだろ〜!!)





という大和の喚き声と共に、少し時間を遡る。










(それって・・・東郷ターンしろってこと?)





戦いを間近に控え、大和は高柳艦長からの指示を受けていた。


戦いとなれば、当然大和が「大和」の全機能を掌握して戦うのであるが、如何せん大和はプロの軍人ではない。



そのため、初の水上艦との戦いということもあり、幾つか戦いのコツとも言うべきことを教えられていたのだ。



「それとは少し違うな」


現在大和が受けた指示は「常に敵の前方に立ち塞がる」ということであった。


進んで来る敵艦隊の前に立ち塞がる、そう聞けば真っ先に思い出されるのがやはり日本海戦史に残る戦いである日
本海海戦であろう。



前後に主砲が配置されている戦艦の構造上、前方に向けられる主砲の数は全体の半数から6、7割。


これに対し、敵艦に側面を晒すことによって全ての主砲を使用する事が出来る。


もっとも、側面を晒すと言う事はそれだけ被弾面積が増えるため、当てやすい代わりに当たりやすいという諸刃の剣の
側面も持っているのだが。



そんなことを思い出しながら高柳艦長に聞き返した大和であったが、どうやら高柳艦長の意図するものではなかったよ
うだ。



「俺が言いたいのは、敵の合流だけは許すな、ということだ」


相変わらず長くなる高柳艦長の説明をまとめると、次のような話になる。



敵艦隊が合流し、「大和」「武蔵」も連合艦隊主力部隊と合流した場合、戦力比は14:12。


16インチ砲以上の戦艦数を比べても6:4と劣勢を否めない。



とはいえ、考えて見れば合流しようとしまいと総合の戦力比に何ら変わることはないのだが、そこは「大和」の特性がも
のを言う。


高速、高機動且つ予想外(滅茶苦茶とも言う)な行動を旨とする「大和」は艦隊決戦には向かない。


それはもう向かない。


向いているはずがない。



一方、米新型戦艦は速度の点で米戦艦部隊の戦艦とは多少合わないところはあるものの、それ以外の面では艦隊行
動することに何の問題もない。


つまり、米艦隊が合流した場合1+1=2もしくはそれ以上になり得るのに対し、連合艦隊が合流しても1+1=2には
なれないのである。


となればお互い合流して戦うよりも、たとえ米新型戦艦との戦いで「大和」「武蔵」が損傷を負おうとも、各個個別に戦っ
たほうが分がいいことになる。





(ん〜・・・わかるような、わからないような・・・)





「まあ早い話が、貴様は扱いにくいということだ」





(なるほど、納得)





高柳艦長の纏め方は今一よくわからない内容ではあったが、大和が納得しているので問題ないだろう。


自分の性能(もしくは性格)の厄介さに関しては自覚があったようだ。


「私から言うのはそれぐらいだ。後は貴様等次第。頼むぞ」


高柳艦長の言葉を受けて、大和が力強く頷く。


そして、大和の態度に満足感を抱いていた高柳艦長に向かって大和は一言言い残すのであった。





(ところで、艦内で専らの噂なんだけど・・・)





「噂?」





(高柳艦長はいくら戦功を挙げても昇進の見込みはないって本当?)





「だ、誰のせいだと思っているんだ〜!!」


ガッシーン!


高柳艦長の拳が「大和」を思いっきり殴りつけた。



高柳艦長がこの先出世出来なくなった理由は言うまでも無く、大和の言葉が聞こえてしまったせいなのだ。



(くっ〜!手が痛い・・・)


・・・いや、どっちにしろ無理だったのかもしれない。



ちなみにこの戦いの後、「大和」艦内において噂の元を探し出すべく、レッドパージ顔負けの粛清に高柳艦長が乗り出
したのは言うまでもない。


実際はそんな噂など流れてなく、大和の創作と判明するのは暫くの後のことであった。










(と、ちょっと思い出し過ぎたけどどう考えてもあの命令が原因だよな)





大和が呑気に回想している間にも、また1艦「大和」の砲撃によって鬼籍へと入る艦が生まれていた。


もちろん、それより多くの砲弾が「大和」を捉えているのだが、致命傷を与えるには至っていない。





(で、僕と武蔵さんはしっかりとその命令を守ってはみたんだけど・・・)





そう、大和は珍しく高柳艦長の指示を忠実に守ったのだ。


常に米残存艦隊の前方に立ち塞がり、その進路の妨害を図りつつ戦闘を繰り広げてきたのだ。



強いて不満を挙げるとすれば、忠実に守り過ぎたことだろう。


そう、あまりにも行動が露骨だったのだ。



そんな「大和」を見た米残存艦隊の司令官は、大和の意図を勘違いすることなく正しく読み取る。


「そこまで意固地になって合流を阻止する理由はわからないが、奴らは俺達を合流させまいとしている」


そして、大和と違って常識人であるその司令官は極普通の結論に至った。


「ならば合流しよう」



その瞬間から、米残存艦隊全体の速力が上がる。


2隻の新型戦艦(サウスダコタは既に離脱)は最高速力である27ノット近辺まで速度を上げ、巡洋艦以下の艦艇は新
型戦艦の進路を開くべく「大和」「武蔵」への攻撃を強化しつつも、自分達も先を目指し始めた。



これに慌てたのはもちろん「大和」である。


敵艦隊の行動を見て取った高柳艦長からは「無理に立ち塞がらず、敵の戦力を削ることに専念しろ」との指示が出て
いる。


これは「サウスダコタ」を早くも離脱せしめるなど、予想以上の精度を見せた「大和」「武蔵」の砲撃を見て、それで充分
と判断されたためであったが、これに大和が反発した。


高柳艦長からしてみれば、大和の能力を評価しての予定変更でもあったのだが、大和はそうは受け取らなかったの
だ。


いや、ある程度は理解していたかもしれない。


しかし、それ以上に「決められた作戦も実行出来ない」ことを嫌ったのだ。


妙なところで律儀と言えば律儀なのだが、かなり困り者なほどに頑固でもあった。



結果、戦いは「大和」が敵艦隊の前に立ち塞がり続け、「武蔵」が自由に動き回りながら敵艦隊の隙を突いて攻撃をす
る、という様相を示した。



それでもこの段階ではまだ何とかなっていた。


「大和」が敵艦隊の前方に立ち塞がりながらも、敵艦隊、と言うよりも敵新型戦艦との距離を一定に保とうとしていたた
め、実質的には何ら妨害出来ていなかったことも大きな問題にはならなかった。


結果後部を敵に向けることになり、主に主砲の砲撃力が落ちたのも許容範囲であった。


敵艦隊の前方に立ち塞がっている上に、元々2隻しかいなかったものを分離したために、「大和」が徹底的に相手から
狙われたことも、「大和」の性能を前にしては大した問題ではなかった。



それでも少しずつ歯車は狂っていた。


それがついに現実化したのは、「ノースカロライナ」が沈み、このまま戦いが続けば米残存艦隊の全滅は時間の問題と
大和が楽観視し始めた時であった。


米艦隊に止めを刺そうとと大和がさらなる張り切りを見せたその瞬間、「大和」の背後に新たな水柱が生まれたのだ。


正確に記すならば、「大和」が米艦隊の前方に張り付くために、米艦隊へ後部を晒しながら戦っていたため新たな水柱
は艦前方に上がったのだが、米艦隊との戦いに全精力を注いでいた大和及びその乗組員達からすれば、まさに背後
からの奇襲であった。




「大和」が米残存艦隊と戦い始めてから約1時間。


米艦隊が合流を目指し始めてから同じく1時間。



この1時間という時間では、米戦艦部隊はまだ辿り着けないはずであった。


事実米戦艦部隊はいまだ「大和」「武蔵」を望める距離まで到着していなかった。




しかし、ここで大和の頭からすっぽりと抜け落ちている事実が存在した。


巡洋艦、駆逐艦で構成された前衛部隊は戦艦より速いのだ。



そして、彼らが戦艦部隊を置き去りにして速度を上げれば充分「大和」「武蔵」を射程範囲に収められることはたった今
証明されたのである。





(な、な、な、なんだ〜〜!?)





突然の砲撃にパニックを起こす大和を他所に、新たに出現した敵艦隊はどんどん「大和」との距離を詰めてきていた。



「慌てるな!まだ戦艦部隊が現れたわけじゃない!」


自身も落ち着いているわけではないものの、そこはさすがに軍人。


高柳艦長は大和を一喝してみせた。



「敵の数は多くない!今まで通り対処すれば・・・」


しかし、高柳艦長の語調は最後で弱まった。





(あの〜、対処したくても・・・)





大和と高柳艦長の見つめるのは「大和」の甲板上に飛び散っている残骸の数々。


ここまでに「大和」が被弾した数は最も怖い16インチ砲弾こそ1発ではあるが、小口径弾は数知れない。


そのため、沈没に繋がるような損傷こそ蒙っていないものの





(副砲も高角砲もかなり壊されてるし・・・ついでにいい加減弾薬もないんだけど・・・)





副砲が半分に当たる1基、高角砲や機銃に至っては7割にも及ぶ被害を出していた。


さらに昼間の敵航空部隊との戦いもあり、残っている砲に回す砲弾も底を突きかけていた。



唯一の例外は主砲弾であるが、巡洋艦や駆逐艦相手に用いるのは「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」である。




こうなると「大和」は苦しくなる。


残り砲弾数を考えると無駄撃ちがし辛くなり、自然発射する砲弾は少なくなる。


先ほどまでは弾幕とも思える圧倒的な砲弾数で「大和」に中々近寄れなかった米水雷戦隊も、こうなれば接近は容易く
なる。


そして理想的な距離で、さらに「大和」からの砲弾がほとんど飛んでこない状況となれば命中率も上がる。


さらに、新たに現れた敵水雷戦隊からの魚雷発射を阻止し得ない以上、魚雷回避を最優先しなければならなくなる。



結果「大和」を捉える砲弾は一気に数を増し、そのうえ残る敵戦艦への砲撃が満足に行なえなくなっていた。


その光景は巨鯨に群がる鯱の群と言った具合であろうか。





(ああ〜!!鬱陶しい!!)





それでも懸命の回避行動を取りながら大和が叫ぶも状況は何も変わらない。





(そ、そうだ!武蔵さんならまだ余裕が・・・)





唯一の相棒たる武蔵に救いの手を求める大和であったが、





(もう少し戦えると思いましたが、私達もまだまだ経験不足ということですね)





完全に無視されていた。


もっとも、武蔵が意図的に無視しているわけではなく、目の前の状況の対処に精一杯な大和に比べ、比較的余裕のあ
る武蔵はこの状況を打破しようと冷静に考えを巡らせていただけなのだが。





(仕方ありません。ここは一つ・・・)





そして武蔵は即座に一つの考えをまとめ、実行へと移した。


と言っても、何も特別なことをしたわけではない。


簡単に言えば、今まで行なっていた事をより極端化して実行したのである。


つまり・・・





(大和さん!巡洋艦以下は無視して、戦艦を沈めることに集中しましょう!)





いかに厳しい状況に置かれたからと言って、武蔵の声を聞き逃す大和ではなかった。


・・・別に凄くないのだが。





(・・・それしかないか)





さらに恐ろしく意外なこと、大和はこの時武蔵の考えを正確に読み取って見せたのである。


2艦の考えを纏めるとこうなる。



戦艦だけならともかく、水雷戦隊まで相手にするのは既に限界。


ここは新型戦艦だけを一通り片付けて、後は連合艦隊の主力に任せよう。



見栄を張って言えば見せ場を譲る。


身も蓋も無く言ってしまえば、逃げる。



大和が逃げるという選択肢にあっさりと応じたのには、自分の身は自分が1番判っているということなのだろう。





(武蔵さんって戦いになると、クールになるよね〜。そんなところがまた・・・)





それでもついでに余計なことを考える辺りは、ある種豪胆と言っておこう。



考えを即座に実行に移すことは、動いてから考えるタイプの大和にはお手の物であった。


戦艦に集中するために副砲以下の攻撃を停止。


これ幸いと撃ちまくってくる敵の攻撃を気にする事無く回避行動も中止すると、全神経を残る敵戦艦「ワシントン」へと集
中する。


その間にも、さらに多くの敵巡洋艦以下の砲撃が大和に命中するが完全に無視。


「ワシントン」からの特殊な16インチ砲弾も1発命中し、「大和」に少なからぬ被害を出すものの、それも今は無視。


魚雷による攻撃が終っていたことは幸いであった。


この時「大和」、「武蔵」と「ワシントン」の距離は既に2万。


同様の行動を取っていた武蔵と共に





(見えた!そこ!!)


(沈んでもらいます!)





放たれた18発の46サンチ砲は、2艦の努力の甲斐あり完全に「ワシントン」を散布界に捉えた。


後は確率の問題である。



そして戦場での確率は多くの場合、腹を据えた者に味方するものである。


7発命中という最悪に近い確率を引き当ててしまった「ワシントン」は戦闘能力の全てを一気に喪失。


続く「大和」、「武蔵」からの砲撃でさらに4発の砲弾を受け、沈没は時間の問題となった。



それを見届けた「大和」、「武蔵」の2艦はハワイとは反対の方向へ戦場を離脱。


これを阻止し得る力を持った軍艦を、米海軍は有していなかった。




これで、どちらから見ても単艦での最強戦艦を失い、相手の最強戦艦を奪ったことになる。


撤退と沈没との相違があるとは言え、この後の戦いに参加出来ない点では等しい。


この傷み分けとも言える戦いの結果、2つの海軍はどちらもまだまだやる気満々であった。





以上、傍から見れば実に緊迫感に満ちたそんな展開も、武蔵と高柳艦長にとっては





(や、やっぱり戦艦の主砲は滅茶苦茶痛い・・・)





大和の情けないボヤキによってぶち壊しにされるのである。



















<次回予告>


2匹の巨龍は去った。


3頭の虎は息絶えた。


お互いのジョーカーは失われ、残されたのは開戦前の戦力。



日露戦争の後から宿命付けられた日米海軍の決戦はいよいよその幕が切って落とされようとしていた。





次回!



「愉快な大和君、戦場を逝く」


「第24話 饗宴」





太平洋の歴史がまた1ページ。





(え?本番を前に出番終わり??)











〜〜〜〜〜後書き〜〜〜〜〜


どうもやまとで御座います。



最大の艦隊決戦を前に大和が去る!


・・・おかしいな、予定と大分違う(笑)



ハチャメチャ戦記なのに、微妙にリアリティーを求めているせいだろうか・・・



ま、まあ何とかなるでしょう!




それではまた次回お会いしましょう〜。








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