DAIVA

ジャンル : 発売された機種によって異なる。共通して言えるのは“SFシミュレーションパート”の存在のみ
機種   : PC−8801mkUSR(Story1)、FM−77AV(Story2)、X1(Story3)、MSX(Story4)、
       MSX2(Story5)、FC(Story6)、PC−9801(Story7)
発売元  : T&ESOFT
実売価格 : 発売された機種によって異なるが、一番入手が容易なFC版は50円前後


 ディーヴァ。なんか名前からしてマニアックそうであるが、実際マニアックの粋を集めたようなゲームであった。
 凄まじい量の機種で、根幹であるストーリーは同じで、内容の異なるゲームを同時発売する、という、今考えても超ハイリスクな企画の元に構成され、実際発売されて
ものの見事にすっこけた作品である。現在はこのT&E、何だか時代を超えてどーたらこーたらとか言っているギャルゲーを発売(?)し、私自身三行半を叩き付けたメーカーではあるが、昔は斯様な意欲的作品を発表していたのだ。
 だが、まずその前にこのゲームの素薔薇しきバカゲーの側面をお見せしたいと思う。

 ストーリーを説明しよう。(とはいえ、各機種ごとにゲームの性質が違うため、レビューが書けるのはストーリーに対してのみなのだが。)

 マウトレーア暦3721年、一筋の閃光と共に一つの惑星が銀河系から姿を消した。そして・・・・・・全ては惑星アルジェナの謎の消失から始まった・・・・・・。ヴィシュヌ銀河には、かつての繁栄の姿は微塵もなかった。この荒廃の影に潜む破壊者の姿・・・・・・シヴァ・ルドラ、元帝国宇宙軍総司令・・・・・・。

 以上、ストーリー1,2,3に記載されている
原文の共通部をそのまま抜粋。何じゃこりゃ。

 このゲーム、全てのストーリーの謎をエンディングでまとめて解き明かしたかったらしく、非常に抽象極まりない表現(というか、これ文章か?)で、ストーリーが説明されている。一応、ストーリー7『カリ・ユガの光輝』のマニュアルで、全てのストーリーの解説とシナリオが、およそ70ページに渡って記載されてあるのだが、それ以外の機種は、ストーリーの解説は全くない。ほぼ純粋なシューティングであるストーリー4に至ってはそれすらない。

 
どないせえっちゅうねん!!

 ここからは真面目に行く。
 この『ディーヴァ』というゲームは、ヴィシュヌ銀河と呼ばれる仮想世界でのSFストーリーだ。ストーリー解説が出来る存在も、日本中を捜したとしても私を含めて10人いないだろうから、メインストーリーから解説する。ちなみに、記憶だけが便りなので間違っている個所があるかもしれない。ネタバレがモロに含まれているが、気にしないように。
 (とは言っても、件の訳わからんストーリーを補足するだけ。個々のストーリー解説は別項でする。)

 遥かな昔、「ディーヴァ」と「アスラ」という、2人の神がいた。それぞれ、生と死とを司る神である。ヴィシュヌ銀河は、2人の神との戦いの結果、生の神であるディーヴァが勝利した事によって誕生したものだ。
 マウトレーア暦3721年。ヴィシュヌ銀河は、インドゥーラ帝国という国家によって、200を数える星系は混乱なく統治されていた。だが、その首都惑星・アルジェナが、ある日突然、謎の爆発を遂げたのだ。その際、インドゥーラ帝国皇帝・マヌも死去し、主柱を失った帝国は瞬く間に混乱が発生した。

 事の元凶は、インドゥーラ帝国宇宙軍総司令官「シヴァ・ルドラ」である。彼は、神話の時代より蘇った死の神、「アスラ」の化身であり、当然、その究極的な目標は、ディーヴァによって創り出された全ての生命・存在の抹殺である。
 シヴァ・ルドラは、アスラの血を引く人間達を、己が使命に覚醒させ、自らの勢力を増大させていった。そして惑星単位での攻撃の為、半鉱物生体兵器「ヴリトラ」を製造、完成させていた。全てを飲み込み、消化・吸収するという、ある意味ブラックホールのような兵器である。
 その矛先は当然ながら、惑星スートリでの実験を経て、真っ先にインドゥーラ帝国の首都惑星であるアルジェナへと向けられた。その結果、惑星アルジェナへの攻撃には成功したが、不安定なヴリトラは自己崩壊を起こし、アルジェナと共に消滅。シヴァ・ルドラは、ヴリトラの再製造を余儀なくされたのだが、これは大きな痛手だった。
 ヴリトラの製造には、帝国にて普遍的なエネルギーとして用いられていた「γ−2(ガンマ・ツー)鉱石」とは別タイプの、極めて希少性の強い鉱石が多量に必要とされたからだ。

 だが、ヴリトラこそ失われたものの、ヴィシュヌ銀河を混乱に陥れるというシヴァ・ルドラの当座の目標は、十分に達成された。シヴァ・ルドラは、かつての帝国宇宙軍をもその配下に収め、自己の勢力を増強。更にはヴリトラの製造に必要な特殊鉱石、「γ−3(ガンマ・スリー)」を多量に含む鉱脈を有している惑星、マトゥラーをも手中に収める事に成功した。
 混乱の最中、各惑星で混乱や反乱が勃発。星系の領主が逃げ出すという自体まで発生する始末だった。幾多の海賊(スペース・パイレーツ)も出現し、星系間の航路も断絶。
 そして、このような混乱の中、やがて7人の勇者が誕生する事になる。

 ヴリトラの実験場として破壊された惑星スートリの執政官、ルシャナ・パティー。
 自らの領地で最も激しい騒乱が巻き起こり、妻のサティーと共に惑星を脱出した若き領主、ア・ミターバ。
 崩御した皇帝・マヌの侍従長の甥でもあった、帝国軍艦隊の一司令官、アモーガ・シッディ。
 アモーガ艦隊のエースパイロットでもあり、アスラの存在を逸早く察知していた男、ラトナ・サンバ。
 人工生命発生薬、ソーマの開発主任であり、ヴリトラ完成の為に命を狙われた研究者、アクショー・ビア。
 混乱発生後に現れた海賊の中でも最大勢力である「紫苑の海賊」の頭目、マータリ・シュバン。
 記憶喪失の艦隊司令官にして、神話の時代より蘇ったディーヴァの化身、クリシュナ・シャーク。


 ……この7人と、シヴァ・ルドラとの戦いを描いたスペース・オペラ(というにはあまりにコアな世界観だが)が、この「DAIVA(ディーヴァ)」である。ここまで読んで頂けた諸氏にはお分かりの事と思うが、この作品、ストーリー
だけは非常に力が入っている。
 あ、ストーリーだけじゃなかった。このゲームの音楽、全BGMの作曲者は
浅倉大介である。(私はちゃんと現在もCDを持っている)つまり、音楽とストーリーは素晴らしかった訳なのだ。メカデザインも秀逸だった。
 何よりも、各機種間でのパスワード(ウォーデータ、と呼ばれていた)に、互換性があったというのは画期的だろう。多機種のキャラクターがその強さのまま、他の機種で活躍できたのだ。(ストーリー7のみ、純粋なシミュレーションであったので、ゲームバランスの維持の為に自己戦力の強さは無視された。が、このストーリー7のウォーデータが、他機種で自己戦力を無視したデータであったかというと、決してそうではない。)
 では、どの辺が素薔薇しかったのかと言うと………まあ、その、何ですか。作品が一人歩きし過ぎたんですな。ストーリーの謎を増やすためにろくすっぽ説明とかなかったり、敵の強大さを示す為にゲームバランスががたがたに崩れていたり。謎を解き明かす事が非常に難解だった事もあって、一般ゲーマーはこの作品に寄り付かなくなってしまった訳だ。
 いかに原作が優れていようとも、それがゲームという媒体を介した場合に、素晴らしいとは限らないのがゲームというものの恐ろしさだ………という教訓を、私に教えてくれた作品である。
 ちなみに、
私は全機種のディーヴァをクリアした。







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