ver.3 fancy_books

−間主の読書感想文集−
 大学3年まで、読書には一切興味ナシ。
 夏休みの宿題の定番「読書感想文」も、生涯で一度も自分で書いた経験0。
 ところが今では、バイトで本の校正をしている始末。
 読書癖をつけてくれた師匠に感謝しつつ、どうせならと、 20も半ば近くになり、未提出の読書感想文の罪滅ぼしをすることに。



メディア批判
2003.5.28
『メディア批判』
ピエール・ブルデュー著、
桜本陽一訳

(2000年、藤原書店)


 まあこれは、自分の趣味というか、興味ある分野についての本ですね。 あまりにも暇だった時期に、大学の図書館から借りて参りました。
「メディア批判」というタイトルですが、内容は主にテレビ・ジャーナリズムについて 分析・批判している本。そういう分野に勉強している領域がひっかかっている人には、 色々と参考になることが多いと思います。
 ブルデューってとてもビッグネーム(現在ご存命な思想家たちの中で、 トップ10に入ると言われているとか。かくいう間主も、名前は何度も聞いてました)なので、 やっぱそういう人の本、特にこの人フランス人だし、難解な記述を覚悟していたんですが、 前半は、彼自身がテレビ講義で語った内容を収録したもので、 そういう面もあってか、非常に解りやすい内容だと思います。フランスのテレビを題材にしているものの、 やっぱり「テレビ」と言うことで、日本のテレビ番組の具体例がすぐに浮かんでくるので 読んでて苦にはならなかったです。
 ちなみに、言っていることはよく解りますが、どうも個人的に同意できない主張でしたね。 要は、学界や文学界など他の「自律的な」界に「不当な」権力を及ぼすこと、平たく言うと、 例えば田嶋陽子とか芸能人がある日「衆議院選挙に立候補します!」とか言った途端、 いきなり大物政治家のような得票率でトップ当選しちゃう、こんなテレビの力ってどうなの?  ってことだ(と思う)。
 確かにそれは現実的に問題だと思う(特に田嶋陽子とかね)。が、 政治家にしか評価されない「偉大な」政治家とか、数学者にしか知られていない「高名な」数学者、 とかってどうなの?? とも思うのです。それはきっと、彼等がテレビを利用しようと思わなかったからじゃないかな?  逆に、テレビを利用して力を得ようとした人は、その望みを叶えただけではないかしら。 たとえそれが虚妄の力であろうとも。。。
 結局、今は過渡期ってことなんだと思います。これからはそういう複雑なことも、 いわゆる「大衆」に啓かれていくと思うし、逆にそういうことをしない学者や政治家や芸術家は 上手く行かないのではないかな? とも思います。ブルデューはそのために、 テレビ・ジャーナリズムがよく言われる「視聴率至上主義」から脱して、、、 云々といっているけれど、個人的にはそれよりも、つまり生産者側の革命を期待するよりも、 消費者=オーディエンスの方に眼を向けた方がいいと思います。つまり、 視聴者の目が肥えれば、生産者はその「肥えた」需要に対応しなければならなくなる、ということです。 どうも「知識人」の中には、「「大衆」は無知だからさぁ」っつー感じの、 何というか、奢りというか、そういうのが強すぎる人が少なからずいらっしゃる感じがしますね。 ブルデューも「無知な大衆を扇動するな!!」とは声高に言ってはいるものの、 オーディエンスに対して「賢くあれ」とはあまり言わないんですねぇ。
 まあ、そんな感じであまりにも長く書きすぎた、、、。詳しくは、読んで下さい。って、 本当に長いな、、、(焦)。



北朝鮮に消えた友と私の物語
2003.5.28
『北朝鮮に消えた友と私の物語』
萩原遼

(2001年、文春文庫)


 中学や高校では、歴史の授業がありましたが、 間主は太平洋戦争後のいわゆる「現代史」を「ちゃんと」教わった経験がありません。
 一番の理由は、その辺の内容は順番からいって一番最後のあたりなので、 進度の関係で、毎年の学年末にはそこまで到達しないでその年の授業が終了しまっていたのです。
 そうはいっても、これでも世界史で大学受験をしているので、表面的には一応知っています。 いや、そう思っていました。しかし、、、。
 よく、ニュースなどで靖国参拝問題や教科書問題などが取り上げられる度、 歴史の表面的な知識があった間主は、「いくら何でも、どうしてそこまでヒステリックになるんだろう?」 「確かにそういう歴史があったのだからしょうがない面はあるけれど、でもそれは過剰反応というんじゃない?」 などと感じていました。この本を読んで、それは無理もないことだった、と改めて思いました。 つまり、彼等の心情を私達が推し量るのは、到底不可能なことだったからです。
 それは、そのような経験を持った人にしか、きっと解らないことだと思います。 同じ民族で殺し合うこと、差別に耐えながら、祖国に思いを馳せること。 それはどういうことだったのか。その時代を実際に過ごしてきた人達の身に起きた出来事が、 この本の生々しく語られています。
 そして、いま、ニュースで見聞きしていることの発端で、何があったのか?  これは自分たちがあれこれ口先三寸で話題にする時に、知っていなければならないことだと思います。 そういう感傷を超えた観点からも、この本は非常にバランスよく書かれていると思うし、読みやすい。
 いままで色々な本を「オススメ」と言ってきましたが、この本はそういった類ではなく、 「読め! コノヤロウ!」という本です。お願いしてでも、絶対に、読んでもらいたい1冊です。



高層の死角
2003.5.21
『高層の死角』 森村誠一
(2000年、ハルキ文庫)


 森村誠一、2冊目。
 前回は散々酷評させて頂いた森村誠一の推理小説ですが、今回は大絶賛させて頂きます。 やはり時代のせいでしょうか、色々な描写に納得のいかないモノや、 回りくどい展開など苦手な部分もあるモノの、それを差し引いても非常に面白いと思います。
 特に素晴らしいのは、前回の本で散々馬鹿にした「トリック」。 是非挑戦して貰いたいので詳細は書きませんが、 これの第一版が出たのが間主の生まれる前と言うことを考えると、本当に秀逸だと思うし、 今でも十分通用すると思いますね。 逆に「詰め込みすぎ」の感があるくらいで、多分西村京太郎ならば この本1冊に登場するトリックを使えば本が4冊は書けるでしょう。そう考えると、 やっぱりこの前に読んだ本が駄目すぎる。こっちでアイデア出し尽くしちゃったんでしょうか??
 穴を挙げればいくらでも挙げられるんだけど、 それでも充分推理小説愛好家を飽きさせない作品ですね。 「論理」と「パズル」にアレルギーのない人には、オススメ。



イメージ画像はありませぬ 2003.5.14
『新幹線殺人事件』 森村誠一
(1977年、角川文庫)


 森村誠一、って、結構有名な作家ですよねえ、確か。「野生の証明」とか。ほら、こんな私でも パッと著書を挙げることが出来るほどに。
 なーんてことを思いながら読み始めたんだけど、何ともさっぱり面白くないわけ。 何とも無駄の多いストーリー、大して必要のない官能シーン、安易なトリックをいかにも 苦労して、時間をかけて崩していく展開。読者がさっさと解いてしまったトリックの解法へと 巡り巡って到達するデキレースな推理小説ほど、稚拙な物語はない、と思うのですが、どうでしょう?
 そして何よりくだらないのが、この本が題材として描いている、新幹線、芸能界、同性愛、大都会など、 いわゆる「新しいモノ」への姿勢ですね。。。この本を読んでいると、そういったモノに対する 作者の果てしない嫌悪感というか、憎悪というか、そういうモノが溢れすぎていて、 21世紀にこれを読んだ間主としては、とにかく気分が悪くなりました。。。
 要するに「知識人」としての作者に言わせると、都会人は「無関心」であり、テレビは「一億総白痴化の温床」であり、 芸能界は「無知な凶人達の異常な世界」である、とまあそういうことなんでしょうかね。
 きっと当時は、そういう考えが主流だったんでしょうね。まあ、今もないとは言えないけれど。 こういう、いわゆる「大衆小説」と言うんですか?? って、やっぱり「流行りモノ」なんだなあ、と 実感しますね。そして、25年前と今の人達の考え方の「前提」って言うのかな、そういう「常識」 みたいなモノもかなりかわったんだなあ、と。
 それにしても、一応推理小説なんだから、もっとトリック捻ろうよ、、、。と、初の酷評本。




2003.5.5
『AV女優(2)おんなのこ』
永沢光雄

(2002年、文春文庫)


 多分何かのエロ本の連載企画だと思うけど、色々なAV女優の人達に対するインタビューを 単行本にまとめた第2弾。全部で30人以上のインタビューが収録されていて、 知っている人も何人かいた。
 この第1弾が出たのは99年で、インタビューは90年代前半に行われたものを 中心にしていたモノだったようですが、聞いて以外だったのは、この本を買った人は 男性よりも女性の方が圧倒的に多かったのだということ。 アダルトビデオの世界で働いている人達がどういう風に育って、 どういう経緯でその世界に赴くことになったのか、やっぱり同性として興味があるということなんでしょうか?
 ちなみに、異性の間主が読んだ感想は、というと、まあ色々ですね。 考え方とか生き方に非常に共感できる人も中にはいるし、 逆に無条件に「阿呆」のレッテルを貼りたくなるような人もいます。 どっちにしろ、休み休みじゃないと読めないね。インタビューを活字にしたモノってやっぱり読みにくいし、 まあ読者によっては衝撃的すぎて頭がクラクラしちゃう人もいるんじゃないでしょうかね?
 とくに今回は収録されている女優さんのほとんどが間主と同世代なので、 援助交際とかドラッグとか日常のこととしてフツーに出てくるんで、 そういうことは「TVの中のこと」として過ごしてきた人達には結構ショックがあるかもね。 自分自身はそういう人が周囲にいたから、「そんなもん」程度のことだけど。
 そして、登場する中のひとりの人が「自分の小さい時の話とか、家族の話とかするのはイヤ。 話すこと自体じゃなくて、 『あー、だからAV女優になっちゃったんだねー』みたいな目で見られるのが本当にイヤ。」 ということをいってたけど、確かにそうなんだけど、でも結局そういう興味からこの本が出ているわけで。 でも、やっぱりそんな特殊な体験とか、そういうことではなくて、あくまで日常のことの 積み重ねの結果として今がある、っていうか、そういうことを忘れたくないなあ。




2003.4.23
『平壌(ピョンヤン)ハイ』
石丸元章

(2003年、文春文庫)


 北朝鮮。
 とりあえず、掛け値なしに、間主が今一番訪れてみたい、でも「市井の」人達なら、 とにかく怖いから金を貰っても行きたくない、そんな数少ない国の1つ。
 そんなこの世界一の旅行客排出国からすら年間200人しか日本人が訪れない国に、 「平壌ハイ」なる激ヤバの新種ドラッグに心躍らせるジャンキージャーナリストが5泊6日の 北朝鮮観光に出かけた際のノンフィクションジャーナル、という時点で既にメチャクチャな設定な本。 しかしそんな本が存在するんですねー。 しかもこの本、巷に存在する「ジャーナリズム」という神話を次々と打ち壊す、 というか茶化し嘲笑う、そんな著者の姿勢が貫かれていて、 そういう点ではかなり挑戦的な「ジャーナリズム」モノ、ということになるんでしょうか?
「ジャーナリズム」って、一体何なんでしょうね?  ジャーナリズムを信じている人には、一度読んで貰いたい作品だと思います。




2003.4.8
『猫と海鞘(ほや)』 群ようこ
(1998年、文春文庫)


 群ようこ、っつー名前だけは何となく聞いたことがあったので、 まあどんな本かなーくらいで読んでみた。
 とにかく笑った。抱腹絶倒だった。
 漫画を読んでいて爆笑したことは数えきれないくらいあるけれど、 文庫本を読んで思わず吹き出してしまったのは人生初体験でした。 というか、今までエッセイなんてほとんど文部省認定の国語の教科書に 載っているモノしか読んだ記憶がないはずなので、 こんなに笑えるエッセイに出会ったことは当然初。
 とにかく語り口が面白くて、「少年アシベと呼ばれても」でガッチリ掴まれて、 後は最後まで一気に読み終えてしまった。 「校正」しないといけないから、本当はこんなにハマってはいけないのだけど、、、(汗)。
「百猫百様」も、自分が猫を飼っているせいもあり、非常に共感できるモノだった。  漫画以外の本で笑いたい人には、オススメです。




2003.4.8
『あたしが海に還るまで』
内田春菊
(1997年、文春文庫)


 とりあえずこのコンテンツをせっかく創ったのに、1冊だけじゃ淋しいだろう、ということで、 今までバイトで読んだ本の中で特に印象に残っているモノを。
 読書の習慣が全くなかったので、名前だけ知っている作家、というのはかなりの数いるのです (←自慢にも何にもならない)。内田春菊もそのひとりで、 名前は知っているがどういう作家かはまったく知識がありませんでした。
 んで、彼女の作品を読んだことある人に言わせれば当然のリアクションかもしれませんが、 読んでみて吃驚。つーか、衝撃的。
 何が衝撃的って、著者自身の実体験を元にしているので、非常に生々しいのです。 とにかく生々しい。椎名林檎の「歌舞伎町の女王」がずっと聞こえてました。 雰囲気がそんな感じなのです。
 全編を等して主人公(静子)とその恋人、夫、客、挙げ句の果ては自分の養父などとの セックスや逃亡を中心に展開していくのだけれど、それだけ性描写が多いのに官能小説のように いやらしく感じなかったのも、特徴といえるかもしれない。 あと、これを読んだ大半の人は「想像を絶す世界だ、、、」とショックを受けると思われるが、 自分はすでに周囲の人間でそういう現実を目の当たりにしてきたので、そういったショックも受けなかった。 でも読み終わるまで目が離せないというか、とにかく面白かったです。
 それにしても、長崎ってそういう街なのか、、、。行ったことないけど。




2003.4.8
『ニュースの職人−「真実」をどう伝えるか』 鳥越俊太郎
(2001年、PHP新書)


 これはバイトでなく、個人的な趣味で読んだ本。
 著者が毎日新聞の記者だった時代から現在まで「報道」というモノに関わってきた中での、 「ニュース」に対する扱い方、接し方について書かれた本です。
 自分が大学でメディア論を勉強していただけに、非常に興味深かった。特に、 「報道は常に欠陥商品である」という著者の考え方はハッ、とさせられる。
 同じころに筑紫哲也氏の「ニュースキャスター」という本も読んでいたのだけれど、 こっちの方が断然面白かったです。
 ニュースとか報道に興味がある人は、是非。

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