ver.3 fancy_books

−間主の読書感想文集−
 大学3年まで、読書には一切興味ナシ。
 夏休みの宿題の定番「読書感想文」も、生涯で一度も自分で書いた経験0。
 ところが今では、バイトで本の校正をしている始末。
 読書癖をつけてくれた師匠に感謝しつつ、どうせならと、 20も半ば近くになり、未提出の読書感想文の罪滅ぼしをすることに。


過去の感想文→ 03 02 01


電車男
2004.10.31
『電車男』 中野独人
(2004年、新潮社)


 最近は仕事関係のハードカバーばっかり読んでいたんで、此処を更新するようなネタは半年ほどなかったんですが、、、。久々に本を読んだ感じですねえ。
 といっても、この本も書店で買い求めた訳ではなく、「纏めサイト」を読んだだけな訳なんですが。とにかく面白かったので。
 ただ、「面白い」といっても、楽しむことが出来る人は明確に限られているような気がします。少なくとも「2ちゃんねる」を見たことがあって、 そのリテラシー(んー、あまり適切な言葉じゃないような気がしますが、、要するに2ちゃんねるを読む時のルールっていうか、まあ読み方みたいなもの)を 知っている人じゃないと、この面白さは体感できないのではないかな、と。また、amazon.co.jpもそうなんですが、多くの書店(ネット含む)の書評に書いてある 「純愛物語」みたいなものとは違う気もします。でも非常に面白いし、感動も出来るとは思います。現に間主もラストはちらっと感動しました。 そういう「いつの間にか入り込んじゃう」感が非常にあるスレだと思いますし。そういう感覚が読書している時のそれとは少し異質なものなので、 その意味ではネットで見た方が面白いかもしれませんね。
 こういう「作者不詳」の物語っていうか、そういうものの魅力は存分に詰まっていると思います。展開は劇的だし。いきなりハードカバーを手に取るよりは、まずは 纏めサイトを読むのが良いんじゃないでしょうか。
 →纏めサイト
 →電車男



知の編集工学
2004.5.16
『知の編集工学』 松岡正剛
(2001年、朝日新聞社)


 確かこの本を読み始めたのが昨年の11月〜12月頃だったはずで、途中で放り出して本日ようやく読み終えたということは、正味約半年の期間1冊の本に費やしたと言うことになります。とはいえ、素直に解らないものは解らないと言うことが一番精神衛生上健全な訳で、結局さっぱりとは行かないまでも、「いまいち解らない」状態のことが今なお山積み状態になっていることを白状しておく必要があるでしょう。
 確実に解ることは、筆者はこの「編集工学」という方法論によって、新しい世界観を、世界を認識する枠組みを構築しようとしているのだな、ということ。そしてこれは漠然としか間主には判りませんが、使われている「編集」という言葉は、要は「関連性の創作」ということなのではないかなあ、ということでした。「イマイチよく解らない」理由はきっと、このように扱われている内容が壮大すぎて全容を掴みきれないことと、引かれている例が余りにも知識人ライクで間主には知らない事が多いという辺りにあるのでしょう。
「情報は独りでは生きていけない」ということ、そしてだからこそ、その無限に接続される関係性のリンク(これを「遊び」と呼んでいる)の中にこそ世界がある、という筆者の考え方は、間主にとっては言われてみれば至極当然のように思えもし、けれども誰もハッキリとは言っていなかったような、そんな感覚が残ります。こんなふうに漠然としか説明する事が出来ないのですが、それは間主自身この本について今漠然とそんなイメージがある程度だという事で、いつか色々な事が繋がってくるような、そんな予感だけはあるんですが、まあ確実に再読するような気がする、まだ何か出てきそうな、そんな1冊だった事は確かです。(漠然)
 本日呼んだ部分には、間主が今仕事で一日の大半を費やして学んでいる「オブジェクト指向プログラミング」についての話もあり、何か今までこの本を読みかけで放り出していた事はもしかしたら必然だったのかもしれない、と妙に納得してしまったりもするのでした。いや、ほんとに。



フーコー入門
2004.4.4
『フーコー入門』 中山元
(1996年、筑摩書房)


 一応フーコーの概念を利用して卒論書かせて頂いた訳なので、暇だし興味もあるし、読んでみるかあ、と思って手に取ったのが2月の終わり。で、結局僅か230ページの新書を読むのに1ヶ月以上もかかってしまいました。。。
 やっぱり入門書といえども難しいわけです。非常に面白いんですけどね。これはもう、本当に面白い。ただ、何度も戻ってまた読んで、という事は往々に起こります。3歩進んで2歩下がる、みたいな。その繰り返しですね。
 ミシェル・フーコーという哲学者は、結局は「真理」というものに真摯に向きあおうとした、そして哲学によってこの世を幸福に生きる事を願った、そんな人のように思います。あ、今書いていて気が付いたけれど、フーコーは元々心理学を専攻していて、そうして卒業後勤めた精神病院での体験から徐々に「真理」の分析に向かっていく訳なんですが。心理から真理へ。フランス語では全然違うのに、日本語で考えると何か納得してしまう感じがあるのは間主だけでしょうか? とにかく、そんなことからも言葉って面白いなあ、と思うわけです。



限りなく透明に近いブルー
2004.2.18
『限りなく透明に近いブルー』
村上龍

(1978年、講談社)


『限りなく透明に近いブルー』。
 以前からこのタイトルに何故だか解らないけれど非常に惹かれるモノがあって。ようやく読む事が出来ました。
 とにかくクラクラした、、、。
 ドロドロしてるっていうか、カオスっていうか、グチャグチャっていうか、グロいっていうか、、、。とにかく訳がわかんないし、途中で読むのが辛くなってきたりもするし、顔を背けたくもなったりします。でもまた読み始めてしまう。結局最期まで読み進めてしまったのです。読後、別に清々しい気分にもならなければ、救われた気分にもならない。かといって酷く後悔したり、落ち込んだりする事もない。そのままなんですよ。そのまま。全てがそこら辺に放置されている感じなんですよね。。。
 まあ、新人賞だか芥川賞だか、そういう文学的な価値についてはよく解りませんが、とりあえず巻末の解説が説教臭くて少々鼻についた、という事も付記しておきたいと思います。



イメージ画像はありません 2004.2.6
『ひらいたトランプ』
アガサ・クリスティ著、加島 祥造訳

(1976年、早川書房)


 アガサ・クリスティの作品を1冊読みたいと思い、図書館でタイトルを眺めて手にしたのがこの本でした。しかし、この本を読むに当たっては、準備が必要だったことは、読み始めてようやく解りました。。。
 トランプの中に、「ブリッジ」というゲームがあるんですが、このルールが解らないと最終的な面白さが半減してしまいます。推理小説なので、そういった情報は正しく理解できないとポアロの推理を細部まで愉しむことが出来ません。質(たち)が悪いのは、このブリッジが、日本では全くポピュラーなゲームではないこと。というわけで、本編第2節まで呼んだあと、間主は本を置いて、インターネットでブリッジのルールを勉強し始めた訳なのでした。
 しかし、この作品の秀逸な部分というか、「やられた!」と思うのは、別にブリッジのルールではありません。ブリッジを学んだら、今度は著者の書いた序文をしっかり読んで下さい。5回くらいは繰り返して読むことをオススメします。それくらいしても、彼女の仕掛けた罠(トリック)から逃れられることは解らないのですが。
 小説も面白かった(掛け値なしに名作だと思います)けれど、それ以上にとにかくブリッジへの興味がとどまることを知りません。是非このゲームやってみたい。どなたかプレイできる方、いませんかね??

 →ブリッジのルールのお勉強



企画の教科書
2004.1.31
『企画の教科書』
「おちまさとプロデュース企画の教科書」を作る会(編集)

(2003年、NHK出版)


「おちまさとってすげぇよな〜」という話を弟としていたら、弟がこの本を持っていたのでパラパラ読んでみました。
 が、別に何て事はなく、普通の内容。自分には「当たり前」に思われることばかり書いてある。というか、それしか書いてないのです。んー、何だか「すげぇ人」って事で、異端なことばかりが書いてあると期待していた自分がいた、ということなのでしょうかね? でもよく考えてみたら、そういう風に「当たり前のこと」を当たり前にやりきる人、っていうのも凄いなあ、と思うわけです。そういう意味では、おちまさとって「やりきる人」なのかも。
 ただやっぱり全く繋がりの無いように思われることをくっつけることで斬新な企画を創り出す、“0から1をつくる”ということに関しての手法は、基本通りなんだけれどやっぱり凄いですね。「ファンタジスタ」と呼ばれる選手ほど基本練習にたくさんの時間をかける、という話と通じているような気がします。まあでも、おちまさとは確かにスゲェ人ですが、1400円も出して買う本でもないと思います。



文化人類学の世界
2004.1.25
『文化人類学の世界 −人間の鏡』
クライド・クラックホーン著
外山滋比古、金丸由雄訳

(1971年、講談社)


 この本、結構長い間読みかけで放置してありまして、ようやくこのほど最後まで読み終えました。
 文化人類学、という名前の学問を初めて知ったのは大学においてですが、まあ当時この入門講義を担当していた教授というのが何とも筆舌に尽くしがたい程酷い先生であったモノで、、、。当時の講義で知ったことは、「構造主義」の産みの親であるクロード・レヴィ=ストロースを世に出した学問であるということと、そしておそらくこの「構造主義」というモノのお陰だと思いますが、先生は全然面白くないけれどどうも面白そうな学問みたいだ、ということだけでした。
 で、結局1年講義を受けてみて(といっても詰まらないから学期末に友人から借りたノートで知ったことだけですが)それしかわからなかったので、でも漠然と興味はあったので、つまるところどういう学問なのか入門書として買ってみたのです(確か)。
 結論から言うと、これ1冊読めば少なくとも間主が当時受けていた授業1年分の3倍の文化人類学の基礎知識は得られます(苦笑)。「人類学とは」「文化とは」「社会とは」「習慣」「性格とは」等々。文化人類学という学問が、ただ辺境の地に暮らす珍しい民族の珍しい習慣や風俗を紹介するモノではなく、むしろ全く逆のことを探求しているということ(つまり基礎知識の基礎)がきちんと書いてあります。
 まさに入門書なので、講義受ける前にこれ読んどきゃ良かったな、と勿体なく思いましたね。まあ例によって、後悔先に立たず、というわけですが。



希望の国のエクソダス
2004.1.25
『希望の国のエクソダス』 村上龍
(2002年、文藝春秋)


 村上龍の作品を読んだのはこれが初めて。何でもいいからとりあえず読みたいと思っていたんですが、結果として本作を最初に読んだことは非常に良かったと思ってます。それくらい面白い作品でした。
「現実感の喪失」ということがテーマになっていて、ハッキリ言って難しい専門用語や難解な業界の話がバンバン出てきます。でも肝心なことはそういう内容がとっても勉強になる、とかそういう事ではなくて、私達が日常そういうモノがよく解らなくてもそれを無視することで、または「結局こういうことでしょ」と単純化することで何だか解ったフリをしてやりすごしているうちに、色々なことを「現実感」を伴って消化することのない状態になっている、そしてそれが解らなくても私達は一向に困らない、そうしていくうちに社会が色々な集団に解体され再編成されているのに、そもそもそういうモノに対して無関心になることに慣れてしまっているのでそういう変化をすら現実感を持って実感することが出来ない、、、。
 作品中の経済面での様々なトピックや、最新のコンピュータビジネスの話などを本当はきちんと理解できてなんかいやしないのに、それでも気にせずストーリーを読み進めていける、そういう「現実感の喪失」を実感させてくれる、というのが非常に皮肉めいていると言えばいいんでしょうか。間主には、筆者が本作の中で「中学生の生態」や「マスコミの凋落」や「世界経済システム」を実に良く理解している、ということが優れているのではなく、それぞれについて「結局解らない」事を認めた上でどうするか、そこでどういうコミュニケーションを目指せばいいのか、そんな問題定義の元の一歩であるように思えました。
「解らない」と何かについて声に出して言い、それを少しでも解ろうと望む人だけが希望を持つことが出来る。そのエクソダス(=出発)が何処に行き着くのかは、結局誰にも解らないのですが。



逆説の日本史
2004.1.8
『逆説の日本史』 井沢元彦
(1巻:1997年、小学館)


 今現在、間主が最も熱心に読み倒しているシリーズです。まだ3巻の途中を読んでいる段階でこの記事を書いていますが(もう10巻くらいまでは存在するはずです)、当初図書館で借りて読んでいたモノの文庫版を、本日書店にて購入したくらいはまってます。元々人生の中で最も成績の悪かった(0点とか、2点とか普通に取ってました)高校生の時期にですら世界史と日本史だけは学年トップクラスだった(自慢です)程歴史好きな自身の志向が大いに関係していることだけは間違いないんですが、とにかく非常に面白いです。
「最近の歴史家は、歴史書を変遷した歴史家の思想をあまり問題にしない」とは文中に出てくるある歴史家の台詞(著者ではありません)が、「語られていること」よりも「語られなかったこと」が「何故語られなかったのか」に思いを巡らせていくことで組み立てられていく「筆者の日本史」は非常に面白いし、スリルに溢れてます。推論の上に推論を組み立てていくことから生じる違和感や、くどいくらいの現代の歴史学会に対する批判が鼻につくあたりを差し引いても、本当に興味深いことばかりです。間主は学校科目で歴史を勉強している程度なので歴代天皇を順番にすらすら言うことすら出来ませんが、何ならちょっとそこら辺の基礎知識を勉強してこの著者の主張を徹底検証してみようか、という気すら起こるくらい刺激的でした。
 奇説だろうが異説だろうが、日本という国について、非常に面白い物語が1つ増えたことだけは確実だし、またある程度の説得力もある。こういう自分の常識を揺さぶられる感覚、って何だか非常に好きです。歴史にアレルギーがない方には、是非お薦めしたいシリーズです。



バカの壁
2003.12.30
『バカの壁』 養老孟司
(2003年、新潮社)


 やたら売れているらしい、と言うことを色々な所で聞いていたら、普通に母親が買ってました。で、読み終わってからこれを書いている今までずっと考え続けていることはと言えば、「どうしてこの本が200万部以上も売れたのか??」ということなのです。
 いくら何でも、個人的にはちっとも面白くもなく、為になることが書いてあるわけでもなく、筆者の言うことにどうにもこうにも共感できないような本が、200万部も売れるわけはないと思うので、何かあるはずだ、と一生懸命考えているんですが、、、。まあとにかくそれくらい、間主にとっては期待ハズレであった、ということは確かですね。周囲の友人にも訊いてみたんですが、もしかしたら間主たち「若者」(←筆者の言葉)にとっては全然響かない本であるのかもしれませんね。逆にそういう人達を忌み嫌っている方々に支持された、と言うことなのかもな、と思えば冒頭の疑問もちょっと解けるかもしれないんですが(「若い人は本を読まない」なんて散々言われている昨今ですから、きっと200万部の売り上げにもあまり貢献はしてないでしょうし)、でもそう考えると、何だか淋しい気持ちになってしまうのも事実です。何故なら筆者の言葉で言う「バカの壁」が私達と彼らの間に歴然と存在し、彼らにとってその壁の「向こう側」にいる我々は、「反社会的な」人々、ということなのですから。
 とにかく、何度も言いますが自分にとっては「さっぱり」な本でした。誰かどうしてこの本がこんなに売れたのか教えて下さい。


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