ver.3 fancy_soccer

−サッカーの戯言帖−
 thoughtsを書いていると、話題がサッカーの日はどうしても長々と書いてしまう、 というので、こっちに移しました。これで好きなだけ言いたい放題に書ける。
 基本的に飲み屋でサッカー見ながらあーだこーだ言ってるのと同じ感覚ですので、 私見にいちいちケチをつけないよーに。あくまでも私見ですからね。



6.22 FIFAコンフェデレーションズカップ B
(日本vsコロンビア)
 (6.23.mon.2003)
「あとちょっとの差だが、いつも言っているように、その差が大きいと思う」
 フランス戦直後の中田英寿のコメントを、象徴しているかのような試合でした。内容が良くても、勝ちきれない。 この「勝ちきる」という点に置いて、正に「若い経験不足のチーム」(中田)から「大人のチーム」(かつてトルシエが、 自らの率いるチームを表していった言葉)へと変貌を遂げるには、まだまだ時間がかかるようです。
 明らかに決定的な1つの守備のミスから得点を奪われて負けてしまったわけですが、 この試合の敗因をDF面だといってしまうのは、少し違うような気がします。 確かに、失点したから負けてしまったというのは事実なんですが、それは昨年のW杯までの「堅守」をベースにした日本チームに対する 評価の方法であって、「攻撃」にポイントを置いている現在のチームに対しては、やはり「得点を奪えなかったから負けたのだ」と 言うべきでしょう。コロンビア代表は、前半の終わり(このときは楢崎のスーパーセーブで事なきを得た)と 後半の得点シーン、この2度の決定的なチャンスのうち1度をものにしているのに対して、日本チームはチャンスの数に対する 得点数が格段に少ない。つまり決定「率」が悪い、という事実が間違いなく存在しているのです。
 ただし、これをFWのせいにするのはどうかな、とも正直思います。現状でFWの決定力不足を揶揄する人達は、 日本にもクライファート(FCバルセロナ)のように難易度の高いゴールを次々に決めてみせる (その代わり彼は簡単なチャンスを「マジで!?」ってくらい外すのですが、、、)、そういう天才的なFWの登場を待つしかないでしょう。 それくらい今の日本チームの攻撃には、「ホラ、後は決めるだけよ」という、完全に相手を崩してのチャンス、というモノが少ないのです。 ジーコが標榜する「クリエイティヴ」なオフェンスは、確かに徐々に形になっているとは思われますが、 その割には、昨日の試合を見ても、やはりサイドからのクロスに頼ってしまう感は現状否めないように思えますし、 今大会の3試合を見ても、ペナルティ・エリアの中まで侵入して相手を崩したシーンというのは ニュージーランド戦の中村が決めた1点目だけで、後は皆無に等しいのではないでしょうか (後のゴールはフリーキック、クロス、ロングシュートが1本ずつ)。そしてここに、現状日本チームが抱える構造的な問題があると、 個人的には思うのです。
 それはズバリ、「タレント」です。
 周知の通り、今の日本チームが標榜している攻撃のスタイルは、「自由」です。 チーム編成当初から、「黄金の中盤」などと囃し立てられ、その創造性溢れるサッカーに多くの人が期待を寄せました。 しかし、この「自由」という言葉、裏を返せば「個人に頼る」という風にはいえないでしょうか?
 何が言いたいかというと、確かに「黄金の中盤」とは現状の日本代表選手の中で最高のタレント集団だけれど、 じゃあそれが常に4人ともベストコンディションで、ピッチに名を連ねることができるのか? ということなのです。 編成から1年たった今、それは誰の目にも明らかです。それは限りなく不可能に近い、生成することが難しい「純金」のようなモノなのです。
 では、そのようにいわゆる「ベスト」の布陣がくめない場合、どうなるのでしょうか?  トルシエ時代の日本に置いては、それは全く問題になることはなかったでしょう。 それはチームに明確な「決め事」が詳細に存在し、例え選手が代わろうと要求されることは同じ、 そういう「オートマティズム」の中でサッカーが展開することが、始めから決まっていたからに他なりません。
 これと対極をなす、ジーコのチームではどういうことが起こったでしょうか。
「自由」なサッカーにおいては、局面事の選択は全て個人の判断に任されることになりますから、 そのポジションに着く選手が代われば、当然それぞれの状況においての「選択」も変わるわけで、 他の選手はそれに応じてゲームを組み立てていくことが必要になるわけです。 が、このとき、選手にそれだけの「創造性」を発揮するだけのポテンシャルがなかったとしたら??
 代表としてチームに登録できる選手の人数は、23人と決められています。 GKを3人用意するとして、残りは20人。この中に、現状どれだけ、ジーコの要求する水準の「創造性」が存在しているでしょうか?
 今の段階で、小笠原が中田、中村とは一つ以上下の段階の選手であることは明らかでしょう。 永井や中田浩二には、局面を個人の力でどうにかできる力量があるとは、とても思えない。 ジーコはかつての長嶋茂雄巨人軍監督のように、力のある選手を揃えて、監督は出来るだけ何も言わないチームが理想なようですが、 それをやるには今の日本にはあまりにもタレントが不足している上に、リーグ戦を戦うチームのように長い時間をかけて チームとしての洗練度を高めていくような時間を持つことが不可能な「代表」というチームにおいて、 それだけの「理想」が叶えられるのかは極めて疑問であると言わざるを得ないし、 更に言えば、百歩譲ってそれが叶ったとして、じゃあ例えばブラジルのように個人のタレントの「総和」が 決定的に異なる相手と対戦した場合、それをうち破っていくことが出来るのでしょうか?
 今回のコンフェデレーションズカップでの結果、そして、この大会に向け招集された選手達が、 文字通り日本の「現状」です。代表監督が選手の「タレント」を開発することは不可能だし、 いきなり明日「超新星」が現れるわけもありません。 しかし、これが日本が世界のヒエラルキーの一つ上の階層に上がる上で、 必ず向きあわなければならない壁だと言うことも確かです。今まではそれと向きあわない代わりに、DFや組織力を向上させることで 戦ってきた、つまり、短所を改善するよりも長所を伸ばす方向でチームを編成してきたのです。
 ジーコは、歴代の監督の中で初めて短所と向きあう決断をし、そしてそれが協会の意志なのかもしれません。 だとすれば、私達はもう少しの間、歯痒い想いをする必要があるのかもしれません。 少なくとも今は、私達がこの「タレント不足」「創造性の欠如」という私達自身の弱点を直視することができない、 そしてジーコはそのスケープゴートになってしまいつつあるように思えてなりません。 次のW杯まで、後3年。ならばもう少しだけ、彼にスケープゴートを続けてもらってもいいように、個人的には思います。 そして遅くても1年後、この壁を乗り越えることが出来なかったとするならば、 私達の長所を最大化してくれる新たな監督を迎えればいいのではないでしょうか。
 見通しは決して明るくないとは思うけれど、しかし光明が全くないわけでもないことも確かです。 全ては、ドイツで歓喜するために。ジーコ、もう少し泥をかぶってくれ。




過去の遠吠え
6.20 日本vsフランス (6.21.sat.2003)
6.18 日本vsニュージーランド (6.19.thu.2003)
6.8 日本vsアルゼンチン (6.9.mon.2003)
5.31 日韓戦 (6.1.sun.2003)

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