第8話「アナゴさん」
| 俺はコンビニで求人情報誌を立ち読みしていた |
|
| それでもまだ何をするべきか決められず、 決まるまではとりあえず、土木のバイトでもしようと思った |
|
| そして気がついたら夜になっていた |
|
| カツオ君 カツオ君じゃないか どうしたんだい?こんなとこで |
|
| あ、マスオにいさん |
|
| ん?求人情報誌? 働く気になったのかい? |
|
| この時代、就職はなかなか難しいから、 まずはバイトでもしようかと思ってね |
|
| そうか、でもそれはいいことだよ 僕も応援するよ |
|
| ありがとう |
|
| ところで晩飯は食べたかい? 僕は今から行こうとしてたんだよ 一緒に行かないかい?おごるから |
|
| うん、行くよ でもウチも晩飯用意してるんじゃないの? |
|
| いいんだよ 最近サザエとは上手くいってなくて、あんまりすぐ帰りたくないんだ それにカツオ君と食べてたってことなら言い訳になるだろ? |
|
| は、ははは・・・ |
|
|
|
| ここだここだ 寿司屋「穴八」 |
|
| 寿司屋? ずいぶん太っ腹だね、マスオにいさん |
|
| いや、何年か前に会社を辞めたアナゴ君が、ここで働いてるんだよ たまにこうして様子を見にね 寿司も安くしてもらえるし |
|
| へー |
|
| コンチワー 久しぶり、アナゴ君 |
|
| おう、マスオ君、久しぶり お、隣にいるのはカツオ君かい? ずいぶん大きくなったなぁ |
|
| こ、コンチワッス |
|
| ちょっと今忙しいから、そこで待っててくれ |
|
|
|
| やあ、お待ちどう 今日は奮発して上にぎりだ さ、食ってくれ |
|
| おお、悪いねー |
|
| あ、ありがとうございます |
|
| んん、美味い |
|
| ホント、美味いッス |
|
| そうか、そりゃよかった カツオ君も遠慮しないでどんどん食ってくれよ |
|
| ところで最近の調子はどうなんだい? |
|
| ああ、この景気だから寿司屋ってのも大変だがねぇ まぁあれから6年ぐらい経つけど、 未だに何とか食ってけるぐらいやってるよ |
|
| そっか、頑張ってるんだな そういえば、カツオ君は何も知らないんだよね? なぁアナゴ君 カツオ君は今就職考えてるんだよ 今後の参考のためにも少し話してやってくれよ |
|
| ええ? 大したことじゃないんだけどなぁ 話してもいいが、参考になるか知らないよ |
|
| お、お願いします |
|
| うん、どこから話そうかな んー ウチの実家は見ての通り寿司屋だが、ひいじいちゃんの代からの老舗でね だから僕のオヤジも昔から寿司屋だったんだ |
|
| でも僕は寿司屋になりたくなくってね ちっちゃいころから毎日毎日オヤジの寿司握ってる姿見ててね もう見飽きちゃって、寿司屋に魅力なんて持てなかったんだ そんなものより、野球選手のほうがよっぽど魅力的だったよ |
|
| ・・・・・・ |
|
| でも野球選手になれるはずもなく、 長男だってのに店の後も継がず、 気がつけば普通のサラリーマンになってたよ でもオヤジは何故か僕が後を継がないことについて、 何も言わなかったんだ |
|
| それから普通に好きな人を見つけ、普通にサラリーマン生活を送って、 普通の人生を送ってたんだが・・・ |
|
| 今から6年前くらいかな? ・・・オヤジがガンで倒れてね |
|
| ・・・・・・ |
|
|
|
| あームカつく マジムカつくんだよ |
|
| 何がって? カンケーないじゃん 次回は「アナゴさんA」って?知らないよ カンケーないじゃん |
|
|
|